タイトル「2021年度 教育学部シラバス」、フォルダ「2021年度 教育学部シラバス-国語科
シラバスの詳細は以下となります。
ナンバリングは科目コードとは異なります。ご注意ください。
ナンバリングとは
科目コード   60503600 
科目名   日本語政策論  
担当教員   南浦 涼介  
対象学年   2年   クラス   51  
講義室   S105    開講学期   秋学期  
曜日・時限   月5   単位区分   選必  
授業形態   講義・演習   単位数  
受講対象  中等教育教員養成課程国語専攻選択科目A、初等教育教員養成課程国語選修選択科目A 
備考   
ナンバリング   132124 
ねらいと目標 この授業は,以下の3つの観点を目標に入れています。

1)言語教育の外側に埋め込まれている「社会的視点・制度的視点」を捉えることができる。
2)社会的状況の中で個々の人間が持つべき言語の権利のあり方を考えることができる。
3)日本語のあり方やその教育の将来像を制度的な視点から捉えることができる。

「教師になる」ということを念頭に置いたうえで「政策」を考えるということは,単に「政策」を知るのみでは意味が薄れます。重要であるのは,「その実践が行われるのはなぜなのか,その背景にどのような政策的観点があるからなのか」という「実践に込められている政策的観点は何かを考える」視点です。

また,教師は直接的に「政策」を変える立場ではありません。しかし,民主主義社会である限り,政策は「変わる」ものでもあり,状況に応じて主権者であるみなさんが「変えていこう」とするものでもあります。ただし教師の仕事として考えるならば,政策そのものに提言をしていくのではなく,「自分の実践」の中に「よりよい観点」としてどのような観点を込めていくか,ということが重要になってきます。

「言語教育」というものの範疇の中にある,「国語教育」にしても「日本語教育」にしても,はたまた「英語教育」にしても同様です。「学校」という場の中の教育として,どのような言語的文化的政策観点が今存在しているのか,今後の子どもたちの成長を考えたとき,さらにどのような観点を込めていく必要があるのか,母語・外国語・第二言語という枠組みを超えて,それを考えていきながら,「実践」をしていくことが重要になります。  
内容 授業は全体で4つのユニットに分かれています。

ユニット1では,日本語教育をめぐって現在考えるひつようのある論点争点を提示し,答えのないその問題について自分たちなりに視点を広げていきます。

ユニット2では,ユニット1で提示された論点争点の解決を考えるために,時間を遡り,まず歴史的探究を行います。日本語教育が過去にどのように行われてきたのか,そこでは現在の問題を考えるために同様のことがあったのか,課題は何だったのか,その課題は今にどう残されているのかを考えていきます。

ユニット3では,ユニット1で提示された論点争点の解決を考えるために,空間を飛び,海外の事例を探ります。
地理的に移民が多く行き交うヨーロッパでは,上のような論点争点をどのように解決しようとしてきたのか,そのためにどのような言語政策の観点を持ってきたのかを考えていきます。

ユニット4では,再びユニット1の論点に立ち返り,ユニット2,およびユニット3で捉えた解決の視点から,現在の日本語教育がどのような観点で日本語や日本人,外国人を捉えていく必要があるのかを考えていきます。その上で,日本語教師はどのような役割を持っているべきなのかを考えます。 
テキスト とくにあらかじめ設けません。授業内で指示していきます。 
参考文献 井上ひさし(2002)『國語元年』中央公論社.〈中公文庫〉
欧州評議会(編),吉島茂ほか(訳)(2008)『外国語教育Ⅱ―外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠』朝日出版社.
小笠原拓(2004)『近代国家における「国語科」の成立過程―「国語科」という枠組みの発見とその意義』学文社.
奥村三奈子,櫻井直子,鈴木裕子(編)(2016)『日本語教師のためのCEFR』くろしお出版.
カルヴェ, L.(2000)『言語政策とは何か』白水社.
川上郁雄(2017)『公共日本語教育学―社会をつくる日本語教育』くろしお出版.
河原俊昭、山本忠行(編)(2004)『多言語社会がやってきた―世界の言語政策Q&A』くろしお出版.
河原俊昭(編)(2002)『世界の言語政策―多言語社会と日本』くろしお出版.
小熊英二(1998)『〈日本人〉の境界―沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで』新曜社
小熊英二(1995)『単一民族神話の起源―〈日本人〉の自画像の系譜』新曜社
真田信治(2001)『「標準語」の成立事情』PHP研究所〈PHP文庫〉.
関正昭(1997)『日本語教育史研究序説』スリーエー・ネットワーク
田中耕三(1981)「国語教科書における地理的教材の推移」『新地理』29-2.
田中祐輔(2015)『現代中国の日本語教育史―大学専攻教育と教科書をめぐって』国書刊行会
バイラム, M. (2015)『相互文化的能力を育む外国語教育―グローバル時代の市民性形成をめざして』大修館書店.
平高史也(2013)「ウェルフェア・リングスティクスから見た言語教育」『社会言語科学』第16巻第1号,pp.16-21.
細川英雄,西山教行(編)(2010)『複言語・複文化主義とは何か ―ヨーロッパの理念・状況から日本における受容・文脈化へ』くろしお出版.
細川英雄,尾辻恵美(編)(2016)『市民性形成とことばの教育―母語・第二言語・外国語を超えて』くろしお出版.
二宮皓(編)(2010)『こんなに違う! 世界の国語教科書』メディアファクトリー. 
成績評価方法 この授業では,形成的アセスメントを重視しています。

1)授業後の省察 30%
TEAMS の投稿機能を用いてそれに返信をする形でふり返りを行います。
目的 学生同士のコミュニケーションを取りにくい遠隔授業の中で,テーマに関してお互いの考えを総合に会うことでより深い理解を促すことを目的とします。

2)課題・レポート 70%
ユニットごとに課題をだします。
課題は基本的には授業内の活動に組み込んだ形となっており,授業内でも取り組めるものです。

目的
ユニットごとにその途中でとりくみ,その課題を事後に持ち寄って交換することでより深い理解をうながしていくことが目的です。
ユニット4の最後には,授業の全体を貫く課題として,日本語教育を政策的観点から見たレポートを書きます。 
授業スケジュール(展開計画)
内容
1オリエンテーション
2ユニット1 現代の日本語教育をめぐる論点争点1 人口減少社会とグローバル化─日本語教師は20年後なくなる職業か?
3ユニット1 現代の日本語教育をめぐる論点争点2 ポスト国民国家と日本人─日本人の定義とは何か?
4ユニット1 現代の日本語教育をめぐる論点争点3 ポスト国民国家と日本語─やさしい日本語と正しい日本語
5ユニット2 現代の論点争点を歴史から遡る1 「日本人の日本語」はいつ生まれたのか? ─植民地と日本語教育
6ユニット2 現代の論点争点を歴史から遡る2 「日本人の日本語」はいつ生まれたのか? ─戦後の日本語教育
7ユニット2 現代の論点争点を歴史から遡る3 「国語」はいつ誕生したのか? ─明治期の言語政策
8ユニット2 現代の論点争点を歴史から遡る4 「標準語」と「共通語」は何が違うの? ─言語政策の複眼思考
9ユニット3 現代の論点争点を海外から考える1 複数言語を話す人の世界観
10ユニット3 現代の論点争点を海外から考える2 複数言語話者と複言語主義
11ユニット3 現代の論点争点を海外から考える3 能力としての複言語主義
12ユニット3 現代の論点争点を海外から考える4 価値としての複言語主義
13ユニット4 現代の日本語教育を改めて考える1 多様な社会における日本語の正しさ─ウェルフェア・リングイスティクス
14ユニット4 現代の日本語教育を改めて考える2 多様な社会における日本人性と市民─市民性教育と言語教育
15ユニット4 現代の日本語教育を改めて考える3 日本語教師の役割と日本語教育の形
授業時間外における学習方法 講義的なことだけではなく,活動を伴いながら学習を進めていきます。
タスクの観点は評価の2)のところを参照してください。 
授業のキーワード 言語政策,言語計画、言語選択、言語権、国民国家、標準語と共通語、方言、近代化と国語、アイデンティティ、複言語主義、日本人の定義、言語景観、日本語教育の制度、移民、やさしい日本語、母語話者教育、諸外国の言語教育、比較教育、ウェルフェア・リングイスティクス 
受講補足(履修制限等)  
学生へのメッセージ 日々の自分たちの「教育行為」には,授業,教師の言葉がけ,創りだそうとする活動,まとめの方法,評価…あらゆる行為の中に,実は「政策」は無意識的に関わっています。
国語教育の普段の実践の中ではなかなか意識されにくい,でも実は意識しないと見えてこない「ことばの政策」。
これを意識するかしないかで,みなさんの実践のありようはまったく違ってきます。
教師の行為はすべて「教育実践を通して私たちの世の中をよりよくしていく」という社会的行為です。「ことばの教育」にあなたは何を込めるのか? それは何のために? 
現代社会の論点争点から,それを読み解いていくための歴史,海外動向をふまえながら具体的実践を通して,考えていきます。 
実務経験のある教員による科目 外国につながる子どもたちの日本語教育,小学校,中学校,高等学校,海外日本語教師と合わせて10年ほど,学校現場にいました。 
授業実施方法(対面形式/遠隔形式) オンラインによるライブ授業の予定です。microfoft teamsをもちいます。最初の授業はWebclassで案内をします。 
その他  
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